『海が走るエンドロール 3巻』の感想(ネタバレあり)

「海が走るエンドロール 3巻」を読みましたので、感想を書きたいと思います。
ネタバレありの感想になります。
海(カイ)が周りから注目を浴びるようになりました。
インフルエンサーのsoraがカイに絡んだ影響ですね。
うみ子達が講義で戦争ドキュメンタリーの作品を観ています。
暴力的なシーンからsoraに言われたことを思い出すうみ子。
少し自虐気味になっています。
作ったおせちをおすそ分けするためにうみ子がカイを家に呼びます。
カイと二人で初日の出を見に行くことになりました。
その道中、カイを撮影することに躊躇するうみ子。
映画を撮ることに自信を失っています。
「うみ子に撮られて嫌なことは多分ない」と言うカイ。
そんなカイに「どんな映画に出たい?」とうみ子は聞きます。
すると、カイは「うみ子さんが撮りたい映画」と答えてくれます。
自信を失っている中、他人に自分を肯定してもらえると気が楽になります。
そんなカイに「お客さんに楽しかったと言ってもらえる、そして、たくさんの人に観てもらえる映画を撮りたい」とうみ子は答えます。
うみ子は自信を取り戻しました。
カイは、自分が面白いと思ったことを突き詰めた映画を撮りたいようです。
うみ子とカイは撮りたい映画は違いますが、映画を撮るという目標は一緒です。
お互いに助け合えたら、映画撮影という航海は進むことができるとうみ子は思います。
暴力をテーマにした作品について、作成したものを発表するうみ子。
説明しながら、心の中で自己批判をしています。
自分の作成したものを他人に説明するのは勇気がいります。
課題はあるものの作品を褒めてもらえたうみ子。
映画撮影に向けて、少しずつ前に進めているのかなと思います。
うみ子達が2年生になりました。
新歓コンパに参加します。
大学に入学したsoraが登場します。カイに芸能の道を進めます。
映画監督になるならお金がいる。
映画撮影のために自分を売るなら安いことじゃないと言います。
これまで、うみ子とカイは映画撮影に向けて穏やかな航海を進んできました。
そんな中、soraはうみ子にもカイにも現実を突きつけてきます。
まさに航海の中に来た大きな嵐の始まりです。
カイに対する注目は落ち着いてきたみたいです。
友人の友保がカイに対して、人気があることは悪いことじゃないと言います。
世間に自分を売ることができる人はほんの一握りなのだから、それを拒否することはないのではと。注目されることも才能の一つです。
カイは、soraの言う事を聞く形になるのが嫌だと言います。
気持ちは分かります。
人に正論を言われた時に、正しいと思ってもそれに従うことはつい嫌になったりしますね。
うみ子がsoraから作品を観てみたいと言われます。
soraを家に招き、渋々作品を観せるとうみ子。
うみ子の作品には魅入られる何かがあったようです。
面白いとsoraが褒めます。
苦手意識があったsoraに作品を褒めてもらえたうみ子。
作品に対する自信を深めることができました。
一方のカイ。バイトが大変なようです。
親からの振込を拒否しているカイ。
しかし、大学の学費のため、そして映画を撮影するためにはお金が要ります。
ついに芸能事務所に電話します。
うみ子が周芳教授の部屋に訪れます。
映画撮影に向けて、今自分に一番必要なものは勘違い力であると語るうみ子。
うみ子はよく自分の行動に対して、周りの人がマイナス気味に考えていると感じ、自虐気味になっています。
それはすべて勘違いと思い、自分の才能に自信を持つことが大切だと考えます。
そんなうみ子に対し、映画祭に作品を出すことを勧める周芳教授。
うみ子の生きてきた時間は強みになる、センスはあると言います。
映画祭に作品を出すことにしたうみ子。
また、周芳教授の勧めでPV撮影のアルバイトを始めることになりました。
生の撮影現場を見て色々感じるうみ子。
周りが自分の扱いに困っていると感じ、また自虐に陥りそうになりますが、勘違い力を発揮して仕事を頑張ります。
一方、カイはスクリーンデビューを果たします。
ビジュアルと、サードから役者に抜擢というシンデレラストーリーで売っていくことになるカイ。
これが本当に正しい道なのか少し気になります。
職場の飲み会に参加するうみ子。
動画サイト等がある中、なぜ映画撮影なのかを聞かれます。
それに対し、映画が自分の人生に必要なものだったからだと答えるうみ子。
そこで、soraが出演する映画の監督を務めている宮本監督が登場します。
自分が映画を撮影している理由を「世界にムカついててどうしようもなかったから」と答える監督。
この言葉が今後どのような意味を持つのでしょうか。
カイが現場で撮影されています。
現場の人に話を聞いたり、人脈を作ったりと自分が撮影する映画のために頑張っています。
芸能活動に疲れる中、何か作品を作っているみたいです。
一方のうみ子。自身の体力不足や業務内容等、アルバイトに苦戦しています。
大学はお金で居場所を買っていると実感するうみ子。
社会では必要とされないと居場所がありません。
時間が無くて外食するうみ子。
カイと偶然出会います。
お互い忙しかったこともあり、中々話せていなかった二人。
共に映画撮影を続けていることを知り、さらに同じ映画祭に作品を出そうしていることを知りました。
喜びで笑顔になるカイ。
お互い別々の荒れた海を航海をしていましたが、目標は違えることなく、再び互いの航路を照らし合うことができました。
うみ子が主人公の作品を撮りたいというカイ。
それに対し、「撮りましょう」と答えるうみ子。
本巻はここで終わります。
本当に人の気持ちをよく表現できている作品です。
海をメタファーにそれを分かりやすく表現できていると思います。
今回は、soraの登場により映画撮影の現実を突きつけられました。
お互い、荒れた海を進むことになり辛い道のりになっていますが、二人なら頑張ることができるというところでしょうか。
次巻を楽しみに待ちます。